親知らずが痛い

親知らずの痛みはどんな痛みなのか?

痛みには大きく分けて3つの原因があります。

親知らず周囲の歯茎の炎症

親知らず
親知らず自体には問題がなく、清掃不良や歯周病などによる周囲の歯茎の感染による炎症の痛みです。
初期の歯茎の表面的な痛みから始まって段々あご全体に痛みが広がっていきます。
重症化すると腫れを伴い、口が開けづらくなり、さらに耳や首筋まで痛みと腫れが生じて高熱などの症状が出ると歯性感染症になります。
一番奥の歯ブラシが届きにくい場所に生えるため、清掃不良による感染を起こしやすいことが原因です。
軽症の場合は局部をよく洗浄して抗生物質などの薬を服用すれば時間と共に痛みはなくなります。
市販されている痛み止めでは一時的な効果しかありませんので、重症化する前に受診をお勧めいたします。

親知らずの虫歯

治療前
手前の歯まではきれいに磨けていても、親知らずには汚れが溜まっているケースによく遭遇します。この清掃不良で虫歯が進行して起こる痛みです。
歯の表面の浅い虫歯では痛みはありませんが、歯の内部にある神経に感染した場合や、さらに進行して根の先あごの骨の中の感染により痛みが起こります。
比較的あごの中の奥の方に痛みを感じます。重症化すると腫れも伴います。
写真のように斜めに生えた親知らずと手前の歯との間によく物が詰まる場合は、放置すると手前の歯にも虫歯や歯周病が発生するため、早急に治療をする必要があります。

親知らずが手前の歯を圧迫する痛みや手前の歯の虫歯

治療前レントゲン
生える方向が斜めや横向きの場合に手前の歯を圧迫することで痛みが出る場合や、手前の歯との間に食べ物が詰まって手前の歯に虫歯ができて痛む場合があります。
圧迫(押す)された手前の歯の動かされる痛みと、動いた結果噛み合わせが狂って噛むと痛むこと、手前の虫歯の痛みです。
痛む箇所をピンポイントで感じられることは少なく、手前の歯の痛みを親知らずの痛みと勘違いするケースが多々あります。
原因が痛い歯にないため、親知らずの抜歯も一つの選択肢です。

痛みが治まった場合は抜歯すべきなのか?

代表的な3つの原因に分けてご説明いたします。

親知らず周囲の歯茎の炎症が原因の場合

一度痛みが治まったということは軽症の場合が多いと考えます。歯磨きなどで清掃管理が今後望めるのであれば経過観察するのもいいと思います。
しかしその歯が食事など歯としての働きをしていない場合やトラブルの種になっている場合、十分な管理ができない場合は、抜歯をお勧めするケースが多いのが実情です。

親知らずの虫歯が原因の場合

痛みが治まった状態でもまだ歯の内部に感染が残っていると考えます。ちょうど台風の目の中にいる状態とお考え下さい。
軽視すると痛みの再発だけでなく、重症化する恐れがありますので早急に受診をお勧めいたします。

親知らずの手前の歯の虫歯が原因の場合

手前の歯の虫歯治療で痛みはなくなりますが、親知らずの生え方に問題があるなど虫歯になった原因が親知らずにあるのであれば、再発を防ぐために親知らずを抜歯することもご検討ください。
原因に関わらず詳しくは「親知らずは抜歯するべきか?」をご覧ください。

親知らずを放置するとどうなるのか?

親知らずを痛いまま放置される方がいらっしゃいますが、痛みがあることは現在も炎症状態であることなので、悪化するリスクが大きいと考えます。
周囲の歯茎の炎症で軽症の場合には、体力の回復やお口の中が清潔に保たれるなどの好条件が揃えば痛みがなくなることもあります。
しかし悪化すると先に述べた歯性感染症で日常生活もままならなくなることがありますのでご注意ください。
虫歯が原因の痛みの場合は、虫歯だけでなく感染自体が自然治癒しないものですので、原因の元を絶つことで現状の回復だけでなく、悪化を止める必要があります。
長引かせて得なことはひとかけらもなく、治療のタイミングを逸すれば、親知らずだけでなく他の歯やあごの骨を失うことさえあり得ます。
できるだけ早く受診されることをお勧めいたします。

親知らずの抜歯は痛いの?

当院は抜歯など外科処置には特に痛みへの対応を心がけています。状況を見て、抜歯のタイミングや術式など最も確実で楽な治療を行っており、結果として術後に「思っていたより楽だった」と伺うことが多いのが実情です。
通常は他の歯の抜歯と変わりはありません。日本人のあごの骨は比較的小さいために正常に生えないことが多く、斜めに傾斜したり横向きに生えることがあります。
そうした場合は抜歯処置自体に時間がかかることと、傷が通常より大きくなるため多少のお痛みがでることがあります。
抜歯や術後の痛みに関して詳しくは「親知らずは抜歯するべきか?」をご覧ください。