親知らずの抜歯
「親知らずが変に生えてきたけど、抜かないといけないのだろうか?」「親知らずの抜歯は大変だと聞いたけど痛いのだろうか?」そんな疑問やご不安をよく聞きます。
人生で4本しか生えてこない上に、大人になってから生えてくるこの歯は永久歯が生えてきた子供時代の記憶が薄れている中で人生初めての出来事に感じることが多いことでしょう。
最後に生える永久歯とはいっても何ら他の永久歯と変わりはなく、扱いも機能にも違いはありません。決して毛嫌いする必要はなく、存在そのものは悪ではありません。ただし、日本人のあごの骨は欧米人と違って小さいため真っすぐに生えない傾向があり、他の歯やお口の中に対して悪影響を及ぼすことがありトラブルを起こしやすい一面があります。
親知らずが生えてくる前にも十分食事ができていたことからお分かりの様に、他の歯と違ってなくても支障がないため、トラブルの元になるのであれば抜歯も選択の一つでしょう。特に妊娠を控えた女性の場合、十分な管理ができる自信がなければ私は経験上妊娠前に抜歯をお勧めしています。妊娠中に痛みや腫れが出て、薬を服用するリスクを考えてのアドバイスです。
親知らずとは
親知らずとは、大人の歯の最も後ろに生えてくる歯です。中切歯という最前方の前歯から数えて8番目にあたります。永久歯は大体15歳頃に生え揃いますが、親知らずは10代後半から20代前半に生えます。まっすぐ生えたり真横に倒れるように生えてきたりと様々です。親知らずが痛むという方は、まずはしっかりその原因を知ることが大切です。
親知らずが痛い原因
親知らずが痛む原因は大きく分けて3つあります。
親知らずが痛む1つ目の原因は、親知らずの周りの歯茎が炎症を起こしている場合です。親知らずは歯ブラシが届きにくい位置にあるため、清掃管理が難しいためです。
2つ目は虫歯による痛みです。やはり歯のお掃除が行き届かないことが原因です。また、斜めや真横に生えている場合は手前の歯との間にできた隙間や段差に汚れが溜まり、虫歯がかなり進行して痛くなってから気が付くというケースもあります。
3つ目の原因は、横向きや斜めに生えた親知らずが手前の歯を押すことによる痛みです。圧迫された手前の歯が動くことで生じる痛みと、歯が動いたことでかみ合わせが狂って生じて痛む場合があります。
親知らずの生え方などで毎日の清掃管理が難しい場合などで痛みや腫れが日常化してしまう、また手前の歯との間に常に食べかすが詰まって手前の歯の虫歯リスクを高めている、こんな場合には親知らずを抜くという選択肢も出てきます。
当院の親知らずの抜歯
当院ではできる限り天然歯は残すべきだと考えております。しかし、どんなに頑張っても患者様のお困りが解消できなかったり、歯を残したとしてもデメリットが大きい場合は将来のことを考えて抜歯をお勧めすることがあります。抜歯になる場合も「親知らずを残すとどんなメリットがあるのか」「親知らずを残したら将来的にどんなデメリットが待っているのか」をきちんとご説明させて頂きます。
痛みや腫れに配慮した抜歯
親知らずを抜いたことがある方から「痛いし腫れる」という話を聞かされると、誰でも「親知らずを抜くのは嫌だ、大変そう、仕事に支障は出ないだろうか」と心配されると思います。当院では治療前後の痛みのコントロール、できるだけ腫れないような配慮をしております。
抜歯をする適切な時期、使用する器具や治療方法、投薬などを患者様ごとに慎重に選定し、短時間で確実に抜歯できる治療計画を立てます。そしてあまり重要視されていない、治療後の過ごし方についてもしっかりお話します。翌日痛いと駆け込んでこられた方の記憶がありませんので、どうぞご安心ください。
難抜歯のケースでは、治療後24~36時間後をピークに腫れることがありますが、抜歯による傷を治すための身体の正常反応です。患者様によって痛みの度合いや期間は異なりますが、難しい抜歯でも生活に支障が出ることはほとんどありませんのでご安心ください。