インプラントができない場合やインプラントに年齢の制限はありますか?

インプラント
インプラントは歯を悪くすることの多い中高年の方の実績が多いのは事実ですが、20代など若い方でも永久歯が生えてこなかった場所の乳歯がダメになったケースや外傷で歯を失ったケースなどで行っております。
逆に「高齢者でも受けられるのですか?」とよく聞かれます。傷の治りや外科治療、骨に関するご不安だと思いますが、後でお話しする問題がなければ、当院でも70代の方は比較的多い年齢層です。このようにインプラントは年齢による制限はないとお考え下さい。基本的には手足の怪我が治る人であれば問題はないのです。70代女性は厚生労働省の統計で歯を失う割合が急激に増加しています。こうした背景が治療実績が多い年齢層になっていることと関係していると考えています。

しかしインプラントを支える骨の量や位置に問題があったり、手術ができない全身疾患をお持ちの方などは残念ながらお受けになることはできません。骨粗しょう症の治療薬(ビスフォスフォネート製剤)を服用されている方も基本的に受けることができません。(主治医により一定期間の休薬ができれば可能になることもあります)
高血圧は脳卒中や心筋梗塞、心不全などの脳心血管病の最大のリスク因子の一つです。したがって高血圧もその程度によりリスク回避の観点からインプラント治療を含む外科治療全般の制限があります。
また喘息も長時間の治療や痛み、横になっての歯科治療などが発作原因となることがあり、外科治療時に用いる麻酔薬で不整脈が起こる可能性も指摘されています。また心理的緊張も発作要因となるため、インプラントを含む外科治療は極力避け、どうしても必要な場合は口腔外科など全身管理ができるところでの受診が望ましいとされています。

この他には骨の状態による制限もあります。インプラントは天然の歯と同じように骨で支えられる構造のため入れ歯と違ってびくともせず硬いものでも何でも噛むことができます。その裏返しでインプラントを支える十分な骨がないと入れることができないのです。このようなインプラントができない場合には入れ歯やブリッジなど他の治療法をご案内させて頂きます。

また重度の歯周病や食いしばりなどがある方にもお勧めができません。重度の歯周病は完治が困難なため原因菌の絶対数が多く、歯と同様にインプラントも感染をして早期に脱落することがあるためです。
天然の歯がこの世で1番ですから、それを超える人工物はこの世に存在しません。その1番が感染で重症なのですからご理解いただけることと存じます。しかし重度でない場合は歯周病治療やご自宅でのケアの結果歯周病のコントロールができていれば、インプラントは可能になります。

そして食いしばりや歯ぎしりなど歯同志を長時間当てる癖をお持ちの方は、その慢性的な力によってご自分の歯が割れたりぐらついてきたりすることがあります。歯周病の場合と同じく、1番が負ける環境にお入れしても長持ちしないのでお勧めできないのです。
しかしそのような環境は残った歯にとっては脅威であるため、そうした癖を極力排除する努力を前提にして、残った歯を守るためにあえて短命を承知の上でインプラントを入れるという考え方もあります。

ここまで否定的なお話しばかりが続きましたが、最後に肯定的なお話をさせていただきます。
通常より治療期間が長くなりますが、現在は骨を増やすことがケースによっては可能になってきています。当院実績ではおおよそ数割の方が骨を増やしてインプラント治療を受けておられ、以前は入れ歯しか選択肢がなかった方々も豊かな食生活と快適さを甘受できる時代に入っています。ご希望の方は適応症かどうかを検査させていただきますのでご遠慮なくお申し出ください。

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