50代男性「割れて抜歯せざるを得なくなった」入れ歯ではなくインプラントとセラミックで噛めることを維持した症例

2023.11.03

治療前

37治療中37治療中レントゲン

 

治療後

37治療後

37治療後レントゲン

 

 

治療8年後

37治療後8年

 

年齢と性別 50代・男性
ご相談内容 2日前に左下大臼歯(左下7番)の銀歯が取れて歯が欠けたとお見えになられました。(治療前写真)
幸いにも痛みはなく、咀嚼が困難だと訴えておられました。
写真とレントゲンから神経がない歯に大きな銀歯が入っていたことがわかります。
カウンセリング・診断結果 歯を拝見すると歯茎から上の歯質はほとんど残っておらず、歯の中央部にヒビが入っていました。このままではヒビから感染を起こし痛むことが確実で、放置するとあごの骨まで感染が広がり重篤な感染症になる危険があります。そのため被害をこれ以上拡大しないために抜歯をすることが妥当だと判断しました。
行ったご提案・治療内容 歯を失うことが確実な状態であることから、歯を失った後の方針をご相談しました。後ろに歯がないためブリッジは不可能であるため、入れ歯かインプラントによる咀嚼の回復が必要です。また歯を1本失ったからといって食べるものは変わらないため、残った歯には失った歯の分だけ負担が増えることになりその歯の寿命にもマイナスに働きます。噛む能力が劣ることや異物感、取り外しに煩わしさなど入れ歯の持つマイナスのイメージから入れ歯は敬遠されたため、消去法でインプラントをご選択されました。
インプラントには入れ歯のそうしたマイナス部分がなく、失った天然歯と同様の咀嚼と使い心地が手に入る上に、入れ歯のように他の歯には負担をかけないこともメリットです。顕著な感染がなかったため抜歯と同時に造骨治療を行いました。抜歯をすると歯の形の大きな穴が骨の中に生まれます。一般的にはその穴は体が骨を作り修復すると同時に使わない組織は衰えるためそれとは真逆の周囲の骨が痩せることで治癒していきます。インプラントは歯と同様に周囲の骨で支える構造になっているため、骨の減少は寿命に対してマイナスに働きます。
造骨治療とは抜歯で開いた穴に骨の成分と似た材料を入れて骨の回復の足場とすることで骨の痩せを少なくする治療です。2か月骨の治癒を待ってインプラント検査を行い、使用するインプラントの種類やインプラントを入れる位置と角度をCTのソフト上でシミュレーションをして決定後、治療全般の方針や治療内容、リスク等をご説明しご了解が得られたので手術を行いました。
歯を抜いた後骨の完全な回復には1年ほど要しますので、インプラントと骨の結合を通常より長く置き5か月後に歯茎の下にもぐっているインプラントと噛むための人工歯を接続するための2度目の簡単な手術を行いました。
その後インプラントに仮の土台と仮の歯を装着して咀嚼機能や異物感発音などの日常生活への問題点がないか確認する期間を設けました。
問題がありませんでしたのでその後歯型を取り最終的な人工歯セラミック(カタナ)を装着して治療は終了しました。
治療期間 約9か月
治療回数
費用目安 473,550円(インプラントと仮歯を含めて)
術後の経過・現在の様子 ほぼ9か月歯を失って咀嚼能力の減少や反対側だけで噛む不自由さなど食生活上噛みにくい状態が続いていましたが、インプラントにより歯があった当時と同じような咀嚼効率と使用感が取り戻せました。
治療後8年が経過していますが、咀嚼だけでなく外見や異物感の問題も見られず歯を失ったことを忘れるような快適な食生活をお送りになられています。
現在は定期検診とメンテナンスで維持されていらっしゃいます。
治療のリスクについて ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります。
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります。
クリニックより 天然の歯が歯周病にかかるのと同じくインプラントも歯周病にかかり寿命が短くなることがあります。日々のケアだけでなく院内でのプロフェッショナルケアにより歯周病感染を制御していくことがインプラントと歯にとって非常に重要になってきます。
またインプラントはネジで人工歯を固定する構造になっているため、経年的にネジの緩みによるネジの損傷などのリスクもあります。
そうしたトラブルを未然に防ぐため6か月ごとの定期的な検診と、3か月ごとのメンテナンスが必要です。このことをご理解いただけているため、治療後も検診とメンテナンスに現在もお通いです。以前は抜歯後骨が痩せていくのを止める方法はありませんでした。そのためインプラントが受けられる方が限定されたり、入れられても不利な条件で先々の不安を残した状態でした。
しかし現在は抜歯をしてからどうするのかを考えるのではなく、抜歯をする前に造骨治療だけでなく今後のことをある程度予測を立てながら治療設計が行える時代に入っています。
将来の噛める生活やその生活がどの程度長く維持できるのかを左右する問題だと捉えています。インプラントを入れることが目的ではなく、快適な食生活を長く続けられることが目的だと考えているからです。

セラミック(カタナ)の詳細はこちらをご覧ください。
インプラントの詳細は下記をご覧ください。
インプラントとは
インプラントの種類
インプラント治療を受けられない人
骨が少なくてもインプラントを受ける方法はあるのか
インプラントと天然歯の違い
骨が痩せてしまった場合の将来的なリスク