40代女性「奥歯が食事中に響く感じがする」金歯を用いて歯のすり減りを止めた症例
2023.08.01
治療前
治療後
年齢と性別 | 40代・女性 |
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ご相談内容 | 「2〜3ヶ月前から起きた時や食事中に左下奥歯が響く感じがあり心配なので治したい。食いしばり癖があり、4ヶ月前に作った就寝時に使うマウスピースに穴が開いた」とご来院されました。 |
カウンセリング・診断結果 | 拝見すると、左右下の奥歯2本(第2大臼歯/7番)の噛む面はすり減りが著しく、虫歯や歯のすり減りから守る役割がある「エナメル質」が削り取られ、内側の弱い組織「象牙質」が表面に出ていました。 歯並びによる噛み合わせの問題、寝ている時の食いしばり、さらに、上下の奥歯が日常的に触れ合っているなど、歯にかなりの負担がかかっていることがわかりました。そのため、食いしばりを含め、歯同士の触れ合う時間を軽減させること、歯のすり減りに抵抗する材質を入れて歯が削れるスピードをコントロールすること、過度にすり減った部分を補修する必要があると診断しました。補修の際は、虫歯で歯が削れている訳ではないため、削る量は最小限にする必要がありました。患者様は「できるだけ歯を削りたくない、また長持ちさせたい。噛み合わせを治したい」とご希望がありました。 |
行ったご提案・治療内容 | すり減った歯の修復方法として、4つの材質をご提案をしました。 保険診療では、歯の削る量は少ないが銀合金のため見た目が目立つ「銀歯」、ある程度白くできるが詰め物がすり減りやすい「歯科用プラスチック」を、自由診療では、歯と同じ色ではあるものの強度を確保するため歯を削る量が増える「セラミック」、歯を削る量が少なく銀歯より目立たない金合金「PGA」をご説明しました。近年、歯の治療では白い詰め物をご希望される方が多いのですが、この患者様の場合、耐久性と摩耗性(すり減り)の観点からはPGA(金合金)による修復が最適でした。 PGAは、食いしばり等の外から加わる力で壊れにくい、歯とほぼ同じ硬さのため他の歯と馴染む、製作精度が高く虫歯になりにくいといった点から、審美面を除いて、耐久性が高く長い期間使用できます。2本とも一番奥の歯のため口を開けても目立ちにくく、「見た目より歯にとって最適なものを選びたい」と歯を削る量が最小限で済むPGAをご選択されました。 まず、詰め物を入れる上で必要最小限に歯を削り、食いしばり癖があるため力がかかることを加味し、一般的な形より詰め物が外れにくいように注力しました。 そして、歯型をとり、仮の歯を入れました。その後、PGAの詰め物の噛み合わせを調整し、セメントで装着しました。 治療中の歯で噛むと歯が欠けたり仮歯が取れるなどのトラブルが懸念されるため通常は治療終了までできるだけ噛まない方が得策です。 2本同時に治療を行うと日常生活の噛むことに影響が出てしまうため、左右別に分けて治療しました。また、当院での噛みしめや食いしばりによる歯の被害を軽減する詰め物の治療以外に、噛み合わせと歯並びを修正するため、矯正専門医の受診をお勧めしました。 |
治療期間 | – |
治療回数 | 4回(片側2回×2) |
費用目安 | PGA2本 205,920円 |
術後の経過・現在の様子 | 左右奥歯に詰め物が入り、物を噛んでも響かなくなりました。 当院での治療後や矯正治療中にも定期的なメインテナンスにご通院いただき、噛み合わせや噛むことに問題はなく、良い状態を維持されています。 |
治療のリスクについて | ・装着に際し、天然歯を削る必要があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、PGAが外れたり割れる可能性があります ・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です |
クリニックより | 歯は見た目だけが大切なのではなく、しっかりと機能し、その機能が長期間継続することが重要だと考えています。 食いしばりなどの悪い習慣も併せて正しく治す必要があります。 |
治療前
治療後
現在
詳細は下記をご覧ください。
・PGAを含めた詰め物・被せ物の種類
歯ぎしり・食いしばり・噛みしめ癖について
歯同志の接触で痛みなどの症状がでる、またその対処法とは