60代男性「歯がしみる」銀歯ブリッジをセラミックに入れ替えた20年間の症例

2023.12.07

治療前

セラミック治療前
右下奥歯がしみるとお見えになられました。右下には銀歯のブリッジが入っており、見た目には虫歯があるようには見えませんが、しみる症状がある以上何らかの原因があります。

治療前レントゲン写真

治療前レントゲン
右上の奥歯には黒く写る虫歯が見られますが、右下のブリッジには明確な虫歯は認められませんでした。銀歯の内部に虫歯などのしみる原因がある可能性があります。

治療後

治療後12年
症状がある以上確認すべきと考え、ご相談の上右下の銀歯ブリッジを外すと内部に虫歯がありました。
その虫歯治療後に金属フレームの上にセラミックを焼き付けた新たなブリッジに入れ替えました。

 

治療後レントゲン

治療後レントゲン
しみる症状はありましたが、かろうじて神経を残すことができました。

2回目治療後

2回目治療後
治療から14年後にブリッジのセラミックの一部が欠けたとお見えになられました。強い噛みしめる力に耐えきれなくなった結果と判断しました。以前の金属とセラミックという異なる材質を共存させたものであるため、他の症例でも時折みられる現象であったため、新しく開発されたジルコニアの上にセラミックを焼き付ける方法で被せなおしました。

20年後(2回目治療6年後)

2回目治療5年後
最初の治療から20年が経過した状態です。やはり噛みしめ等により手目の歯の噛み合わせ部分表面のエナメル質が摩耗し内部の象牙質が露出して茶色く見えています。そのような状況の中でもブリッジは機能し続けています。

 

年齢と性別 60代・男性
ご相談内容 他の歯の治療中に、右下奥歯がしみるとご相談を受けました。
カウンセリング・診断結果 拝見すると右下奥歯(右下5・6・7番)に銀歯ブリッジが入っており、レントゲンからは銀歯と歯の境目に黒く写るスペースが写っており、銀歯と歯がピッタリ合っていないことが読み取れます。銀歯内部の状態は定かではありませんが、ピッタリ合っていないことから銀歯の内部に虫歯がある可能性が否定できません。(治療前レントゲン)
行ったご提案・治療内容 視診とレントゲンから確定はできなくともしみる症状がある以上、何らかの問題があるはずなので、銀歯を外して内部を確認することをご提案しました。方針をご了解いただけましたのでブリッジを外しました。予想通り銀歯の内部に虫歯があり、虫歯を除去してその部分にプラスチックを詰め、銀歯の代わりに仮の歯を装着しました。

その状態でしばらくの間経過を見ておりましたが、しみる症状がなくなったため被せ直しする方法のご相談をいたしました。
選択肢としては同じ銀歯ブリッジ、金合金やセラミックのブリッジ、右下6番の入れ歯かインプラントと被り物(右下5番と7番)があることをご説明しました。ブリッジは歯がない部分の噛む力を両隣の歯が負担する構造になっているためその歯には長期間では負担になります。それがブリッジのデメリットです。しかし噛み合う右上の奥歯は1本失われているため、またブリッジを支える歯に神経が残っていて歯周病の問題もないことからこのデメリットが通常よりは少ないこともご説明しました。
ご相談の結果、セラミックによるブリッジをご希望になられました。今から20年前の当時は金属フレームの上に陶材(セラミック)を盛り付けて焼きあがる七宝焼きのような作り方をしておりました。

歯型をお取りし、次回のご予約で歯にセラミックブリッジを接着して治療は終了しました。(治療後レントゲン)

治療から14年後にセラミックの一部か欠けたとお見えになられました。歯の状態から噛みしめや食いしばり癖があると考え、そうした癖に対して壊れにくく丈夫な金合金ブリッジや、右下6番のインプラントをご紹介しましたが、白い歯のブリッジがいいとのお考えでした。以前の作り方である金属フレームと陶材の接着が弱く時々壊れることから、その時点ではジルコニアフレームの上に陶材(セラミック)を盛り付ける方法に変わってきています。
以前のブリッジを外し、歯型をお取りした後に仮の歯をお入れしました。次のご予約で新しい作り方のセラミックブリッジ(カタナ)を歯に接着して2度目の治療が終了しました。(2回目治療後写真)

治療期間
治療回数 1回目の治療3回
2回目の治療3回
費用目安 1回目の治療345,600円(仮歯を含む3本)
2回目の治療388,260円(仮歯を含む3本)
術後の経過・現在の様子 治療後はしみる症状はなく、食生活や日常の問題はみられませんでした。
治療12年後の写真ではまだセラミックは壊れていませんでした。2度目の治療から1年後の写真と最初の治療から20年(再作製後6年)が経過した現時点の写真を比較しても欠け等の問題はなく正常に機能しています。
治療のリスクについて ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 以前の作り方である金属フレームにセラミックを焼いたメタルボンドより、現在のジルコニアフレームにセラミックを焼いたカタナなどの方が壊れる比率は圧倒的に少なくなっていますが、この方は食いしばりや噛みしめ癖をお持ちのため不安は皆無ではありません。
上の奥歯には外見上問題がないとのことで金合金が入っています。しかしその金合金の噛む面には無数の傷がついており、日常かなり上下の歯同士を噛みしめていらっしゃるようです。金合金には傷つき摩耗しても壊れない特性があるため、こうした症例には最適なのですが色合いから敬遠されてしまうため、この特性を持った白い色調の材料が開発されることを願ってやみません。

無数の傷がついている右上6番の金合金の被せもの
右上6番金合金

治療の詳細は下記をご覧ください。
歯ぎしり・食いしばり・噛みしめ癖について
歯同志の接触で痛みなどの症状がでる、またその対処法とは
セラミック(カタナ)など詰め物・被せ物の種類や特徴