神経まで感染が進行していない虫歯とその治療
虫歯の分類
虫歯にも色々と進行程度があるため、全ての虫歯が治療の対象となる訳ではありません。
虫歯の進行程度により大きく分類して3つの段階があります。
・初期の虫歯
・神経まで感染が進行していない虫歯
・神経まで感染が進行した虫歯
初期の虫歯を除き進行してしまった虫歯は放置すると進行の一途をたどるため治療で進行を止めて歯を守る必要があります。
今回は「初期の虫歯」、「神経まで感染が進行していない虫歯」の治療に関してご説明いたします。
「神経まで感染が進行した虫歯」に関しては文末をご覧ください。
初期の虫歯と治療
C1と呼ばれる虫歯の初期で虫歯が歯の表面のエナメル質だけにある虫歯です。すべての虫歯がこの段階を経ます。
そのためこのレベルで異変に気付き対処すれば、それ以上の虫歯の進行を阻止することができるだけでなく、歯の損害を非常に軽微ですませられる大切な段階です。
しかし無症状であり、肉眼的にも針の先の大きさの変化であることが多いためご本人は気づくことができず放置される傾向が高いものです。
放置された結果、虫歯は次のステージのC2(神経まで感染が進行していない虫歯)に進行していきます。
初期の虫歯の見た目
見た目では歯の表面が若干白く曇りがある、または軽度の褐色や黒色の変色がある場合が多いのですが、見た目では判断がつかない場合も多々あります。自己判断は困難です。
初期の虫歯の治療1
ごく初期のC1は、日頃の歯磨きなどの衛生管理がしっかりできており、また定期検診やメンテナンスで定期的にお口を拝見することができる場合は治療をせず経過観察するケースもあります。
一定レベル以上に虫歯が進行した場合に早期に発見できることが条件です。
初期の虫歯の治療2
初期の虫歯治療1よりある程度進行が見られるが虫歯の範囲が狭いC1は、虫歯部分だけを削り取り、保険のプラスチックを詰めるだけで治療は1回で終わります。
虫歯の範囲が狭い場合は詰め物が噛む力を受けることが少ないため、金属やジルコニア、セラミックなどの詰め物は原則的に必要はありません。麻酔も必要ない楽で簡単な治療ですみます。
虫歯を青く染めながら削っていいる最中の画像です。青く染まっている部分が虫歯です。
神経まで感染が進行していない虫歯と治療
C1段階を過ぎてより深く・広く虫歯が進行した状態で、虫歯は歯の表面のエナメル質を破壊してその下の歯質である象牙質まで進行した状態で、C2と呼ばれています。
しかしまだ虫歯による細菌感染が歯の内部の神経にまで進んでいない状態です。
神経が細菌感染を起こすとしみや痛みの症状だけでなく、歯の寿命を確実に短くしてしまうため、何としてもこの段階で踏みとどまる必要があります。
C2虫歯の治療
治療の流れは最初に虫歯に冒された歯質だけ染まる薬品を使って取り残しがないように丁寧に虫歯を削り取ります。
次に削った穴を何かの人工物で埋め戻してまた噛めるようにする治療を行います。
一定以上の大きさの虫歯はC1の治療とは異なり噛む力に長期間耐える材質的強度が本来は必要です。
そのため強度と耐久性が劣るプラスチックより、銀歯や金合金の金属類、ジルコニアやセラミックなどが適しています。
治療の選択肢
埋め戻す方法には保険治療ではプラスチックや銀歯があり、自費治療ではセラミックやジルコニア、金合金などがあります。
それぞれに長所・短所がありますが、見た目だけでなくどうすれば歯が長持ちするかという視点でお選びになられることをおすすめします。
選択肢の詳細は「詰め物・被せ物の種類」をご覧ください。
一度削った歯は弱くなります。以前に削って詰めた同じ歯をその後に何度も治療されてはいないでしょうか。
治療するたびに段々残った歯が小さくなっていってはいないでしょうか。
今まで一度も削ったことのない歯は今もきれいなまま手つかずで残っていないでしょうか。
歯は削るたびに弱くなる、この点が歯の寿命を重視して治療法を選択されることをお勧めする理由です。
虫歯が深く、神経近くまで進行していた場合
分類的にはC2であっても、虫歯が歯の神経に非常に近くまで進行している場合には注意が必要です。虫歯だけ染まる染色液を使って丁寧に虫歯を除去しても、肉眼では細菌は見えないため細菌が残る懸念があります。虫歯を残せば再発や進行してしまいますので、歯の神経に到達しようが安全のため虫歯は一層広く深く削り取る治療が一般的です。
しかし削って歯の神経に到達した場合には歯の神経を取る治療が必要になります。治療に際してのこととはいえ神経が口の中に露出すると、神経は感染したものと扱い取り除く必要があるからです。歯の神経を取れば歯はもろく弱くなり歯の寿命は5~10年短くなりますが、感染が歯の根っこにまで及んで最悪の場合歯を失うよりはいいという考え方です。
このような場合に私がお勧めするのが抗生物質を使った除菌治療(3Mix-MP)です。
詳しくは「神経を取らない虫歯の除菌治療」でお話ししますが、歯の神経を取らずに虫歯の治療を完結する治療法です。
治療の選択肢
虫歯の範囲が狭い場合は詰め物、広いまたは健全な歯質が薄くしか残っていないなど虫歯の状態によっては被せ物が妥当な場合があります。
歯を削る量はできるだけ抑えたい気持ちの反面、日々の噛む力に長期間維持できる必要があるためです。
選択肢の詳細は「詰め物・被せ物の種類」をご覧ください。
関連記事とよくある質問
・神経まで感染が進行した虫歯
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・虫歯になる理由、虫歯にならない方法
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・歯を磨いているのに虫歯になってしまいました。どうしてですか?
・虫歯治療後も痛みは続きますか?
・ひどい虫歯だと治療費は高くなりますか?
・自分で虫歯に気が付く方法はありますか?
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・歯が痛かったが収まったのでこのまま様子をみていいですか?
・歯が黒くなっている所があります。これは虫歯ですか?