虫歯になったら?ならない方法は?
「虫歯になったらどのような治療をしてどこまで治るのですか?」
「虫歯にならないで自分の歯で一生楽しく食べるにはどんなことをすればいいのですか?」
というご質問をよく頂きます。このご質問に対するお返事に交えながら、虫歯原因や治療法、予防法などについてお話しさせていただきます。
虫歯になったらどのような治療をしてどこまで治るのですか?
虫歯治療は虫歯の深さや大きさによって変わってきます。
またどこまで見た目や機能回復ができるのかもその状況によって変わってきます。
現実的には歯を拝見し、ご希望を伺いながら個別のご提案をすることになります。
歯の状況別の治療法など虫歯治療全般に関してこれからお話ししてみたいと思います。
虫歯の治療について
虫歯治療は痛い?
「虫歯の治療は痛い!」というイメージをお持ちではないでしょうか?
ご安心ください、麻酔をすれば治療中の痛みはありません。
しかし激痛や強い炎症状態の時などまれに麻酔が効きづらい状況もあります。
その際は別の対処法を行うことになります。
・歯科麻酔とは(詳細、効果時間、食事、痛みなど)
いろいろな虫歯治療
その歯が前歯なのか奥歯なのか、歯のどこに虫歯ができたのか、虫歯が神経にまで達しているのかいないのか、
虫歯の範囲や大きさがどの程度なのかなど、いろいろな状況によって虫歯の治療は変わってきます。
・いろいろな虫歯治療の詳細(虫歯の進行段階と治療)
虫歯治療で神経を失うか否か
細菌感染が神経にまで進行しているかいないかで虫歯治療は大きく変わります。
そして歯の寿命も大きく変わります。
神経を失うと血流が絶たれるため歯が乾燥してもろくなり、
割れる・ヒビが入ることがしばしば起こり歯の寿命は統計上5~10年は短くなってしまいます。
これが可能であれば後で述べる除菌治療(後述)で歯の神経を残すことをリスクがあってもお勧めする理由です。
神経まで感染が進行していない虫歯とその治療
感染が神経に及んでいない場合は神経を残すことができ、
虫歯を取り除いた後の歯にあいた穴を人工的な修復物で埋める詰め物や被せ物で歯を守り再度噛めるようにする虫歯治療になります。
その際の詰め物の材質や治療法は保険と自己負担、見た目や耐久性など色々な方向からの選択肢があります。
・神経まで感染が進行していない虫歯とその治療
・詰め物・被せ物の種類
・50代男性「痛みやシミ等の症状がなく虫歯があることに気がつかなかった」虫歯を白いジルコニアで治した症例
・50代女性「詰め物がとれた」神経を取らずに虫歯除去し、セラミックを詰めた症例
・50代女性「奥歯の極めて小さな虫歯」保険のプラスチックで歯を削る量を最小限に留めた症例
神経まで感染が進行した虫歯とその治療
神経が感染した場合は神経の回復が期待できないため、感染した神経ごと細菌を取り除く根管治療になります。
歯にとって神経は大切な組織ですが、これ以上の感染拡大を防ぐ目的で止むを得ない状況です。
根管治療により歯の内部の感染が治まった時点で、歯の補強のための土台(柱)を入れて被せ物で歯を守りながら噛める環境を作っていきます。
保険適用や自己負担、前歯など審美的な被せ物が必要な場所にはセラミック、歯ぎしり癖があり強度と耐久性が求められる場所には金合金やジルコニアなど色々な被せ物があります。
・神経まで感染が進行した虫歯とその治療
・詰め物・被せ物の種類
・差し歯が外れた、虫歯になったときの治療
神経を残す除菌治療
できるだけ神経は取らない方が歯の寿命が長くなります。
しかし神経は一度感染してしまうと薬や治療では元通りに回復しないため、感染した神経ごと細菌を取り除く必要があります。
感染のこれ以上の拡大を阻止するための苦渋の決断です。
虫歯の進行状況(深さ)によって、感染が確実に神経に及んでいないケースは虫歯治療に、
また確実に神経が感染しているケースは根管治療になりますが、両者の境目のボーダーケースがあります。
その場合は状況や症状などから、除菌治療を試みることもできます。
細菌感染は見た目では確実な判断ができないため治療リスクはあるものの、治療が間に合えば神経を取らずに残すことができます。
この場合の治療により虫歯を取り除いた歯の穴は基本的には詰め物で修復し、再度噛めるようになります。
・神経を取らない虫歯の除菌治療
・詰め物・被せ物の種類
・50代女性「銀歯が取れたら大きな虫歯があった」除菌治療で神経を取らずに詰め物で回復した症例
虫歯ができやすい場所とは
虫歯は食べかすが残りやすい場所にできることが多く、歯の溝、歯と歯の間、歯茎と歯の境目、歯並びが悪い場所や奥歯の歯ブラシが届きにくい場所などが要注意です。
それに加えて日常臨床でよく目にするのが銀歯など人工物と歯との境目です。境目に隙間があれば食べ物が残るためです。
小さな隙間は歯ブラシの毛先が入らずご自身の努力では虫歯を防ぐことができないため、人工物を作り直されることをお勧めいたします。
・歯の詰め物や被せ物が取れた
・銀歯が痛い原因と対処法
・銀歯が取れたら真っ黒だった時に考えられること
・詰め物・被せ物の種類
・詰め物・被せ物・ブリッジについて
虫歯症例などの関連記事
・40代女性「銀歯の詰め物の周囲が黒ずんでいる」虫歯治療後にセラミックに詰め直した症例
・30代男性「歯がボロボロでよく噛めないので何とかしたい」多数歯の治療で歯に自信が持てるお口の中に改善した症例
・40代女性「左下奥歯の銀歯詰め物がとれた。白い歯にしたい」セラミックで治療した症例
虫歯にならないで自分の歯で一生楽しく食べるにはどんなことをすればいいのですか?
インプラントやブリッジ、入れ歯などの人工物は歯の代用にはなっても歯を超えることはありません。
おいしく食べるためには何といってもご自身の歯が必要です。歯の存続を脅かす病気は「歯周病」と「虫歯」です。
今回は虫歯についてお話しします。虫歯のメカニズムを知れば予防(戦い方)がわかります。
虫歯になる理由とは
虫歯は虫歯菌が出す酸により歯が溶かされてできます。
従って虫歯菌がいないか少量であれば虫歯になりづらいことがお分かりいただけると思います。
これから虫歯菌の減らし方や虫歯菌と有利に戦う方法についてお話ししていきたいと思います。
・虫歯になる理由、虫歯にならない方法
・虫歯になりやすい(歯質が弱い)
虫歯にならない人、少ない人の特徴
虫歯にならない方や少ない方は口の中の虫歯菌数が少ない、有利な唾液などの特徴があり、あなたの虫歯予防に大変参考になります。
「熱心に歯磨きしていないのに虫歯と無縁の人はずるい」と思われるかもしれませんが、
その人の口の中に虫歯菌がほとんどいないか、いても少量である可能性があり、
意図的に口の中に虫歯菌を入れれば虫歯になることでしょう。
だとすれば家系的に虫歯が多いと諦めることはありません。
家庭内の虫歯菌の感染があった可能性が考えられるため、
ご自分の口の中の虫歯菌を減らし戦い方を知れば「ずるい人」になれるかもしれないのです。
キーワードは、歯磨き、唾液、食べ方・食べ物、です。
唾液で得をする人になろう
唾液には口の中を洗い流す働きがあり、また食事で酸性に傾いた口の中を中和する、さらに虫歯菌の出す酸を中和する働きもあります。
そして歯が受けたダメージを再石灰化して修復する働きや細菌をやっつける抗菌作用もあります。
虫歯予防に頼もしい味方ですが、心が緊張状態にある場合やドライマウスと呼ばれる口腔乾燥症により唾液の分泌が減少すれば唾液の働きが弱くなり虫歯ができやすくなります。
口呼吸でも唾液が乾燥するため同じ状態になるのでご注意ください。
鼻炎等鼻の疾患があり鼻で息ができない方は虫歯だけでなく唾液の面から耳鼻科の受診をお勧めいたします。
歯磨きで口の中の虫歯菌の数を減らしましょう
「虫歯になるから食べたら歯を磨きましょう」といわれる理由は食べかすを栄養として繁殖する虫歯菌に餌(食べかす)をやらないことと、細菌の塊であるプラークを歯から取り除ためです。
虫歯予防の王道といってもいい、最も重要なものです。
・正しい歯磨きの基本やコツ
・歯磨きしていても虫歯になるのはなぜ?
虫歯になりにくい口の中にしましょう
虫歯菌の餌となるものを失くすこと以外にも口の中の細菌の種類を修正することで虫歯を減らすことができます。
虫歯菌から酸を出させない(虫歯にならない)方法です。
その一つがキシリトールの摂取です。
キシリトールを食べた虫歯菌は代謝ができないため酸をつくることができず、結果として虫歯ができにくくなります。
・むし歯ゼロも夢でない、最新の予防
フッ素で手軽に虫歯予防
以前からフッ素が虫歯予防に有効なことは統計からわかっていました。
フッ素といえば子供の虫歯予防のイメージが強いですが、大人の歯の根元の虫歯予防効果が67%もあった報告もあり、大人のケアにも重要です。
以前からフッ素が含まれた歯磨きペーストが発売されていましたが、近年その含有量が欧米にならって日本でも上限1500ppmまで引き上げられました。
以前の上限1000ppmから1500ppmに引きあげられたことで6%の予防効果の上昇が見られています。
次に歯磨きペーストを買い替える時には上限に近い商品をお選びになられるといいでしょう。
フッ素の効果を上げるために、歯磨き後のすすぎは少ない水で5秒程度1回だけにした方がフッ素が口に中に多く残ります。
また寝る前に歯磨きするのが効果的です。
虫歯と食べ方・食べ物の関係
飲食の度に口の中は酸性に傾きます。この状態は歯が脱灰して虫歯を起こしやすい環境です。
虫歯予防といえば歯磨きに目が向きますが、食べ方や食べ物にも注意が必要です。
ダラダラ食いに注意
食事時以外にも頻繁に飲食をするとその度に口の中が酸性に傾きます。
酸性の頻度が多いことは虫歯には好都合です。規則正しい食生活が理想です。
ながら食いに注意
テレビを見ながらなど何かをしながらの飲食は口の中に入っている時間が長くなるため、
口の中の酸性状態が長くなります。これも虫歯予防には不利です。
よく噛みましょう
噛むと消化を助けるために人の身体は唾液を分泌します。
前にお話したようにこの唾液が虫歯予防には非常に大切なのです。一口30回を目標にしてみてください。
また噛むことで満腹中枢を刺激するため食べ過ぎ防止にもなります。
その意味では「早食い」もよくありません。満腹中枢の刺激にはタイムラグがあるため、刺激が伝わる前に食べ過ぎてしまうためです。
寝る前の飲食を控えましょう
水を除いて糖分や食べ物が口の中に残っていると虫歯菌の餌となり、菌の活動が活発になります。
さらに寝ている間は唾液の分泌が低下するため、虫歯が発生しやすい環境になります。
食後と寝る前の歯磨きをお忘れなく
食後には口の中が酸性に傾くため虫歯が発生しやすい状態です。
さらに食べ物などが口の中に残っていれば虫歯菌の餌となるため、虫歯予防の観点から非常に不利です。
また抗菌・洗浄作用のある唾液分泌が寝ている間は低下するため、寝る前にしっかりと歯磨きをする習慣をつけておくことが非常に大切です。
一度習慣化してしまえば、歯磨きしなければ口の中が気持ち悪いと思えるようになり自然と継続できます。
糖分や酸を含んだ飲食物を避けましょう
分は虫歯菌の栄養源であり、また酸は歯を脱灰させて虫歯になりやすくするものです。
糖分が多く含まれるスポーツ飲料や炭酸飲料が多く出回っています。
全く摂取することは困難ですから、糖分や酸を口に入れたらその後水で洗い流すことや摂取の頻度や口の中に留めておく時間を工夫されるといいでしょう。
そして「食べたら磨く」をお勧めします。
歯にくっつきやすい食物
長時間や頻繁に糖分や酸に歯を触れさせないことが虫歯予防の観点から大切です。
歯にくっつきやすい食物はうがい程度では取れないことが多く、長時間歯の表面に留まるため虫歯になりやすい状態です。
できるだけ避けるか、食べたら磨くことをお勧めいたします。