歯科(歯医者)の痛み(歯科治療に伴う痛み、痛みの歯科治療)

歯が痛い
歯科(歯医者)は痛いというイメージが強く、必要だと思っていてもどうしても足が遠のく、そのためどうしようもなくなるまで我慢をしてしまい、重症化して受診される方がいらっしゃいます。
昔の悪いイメージが払しょくできないとのお声もありますが、現在は麻酔方法だけでなく治療法もかなり進化していますのでご安心ください。抜歯やインプラント手術でも治療時は無痛で、術後も思ったより楽だったとのお声を頂いています。

歯や歯茎が痛いなどの症状での受診、歯科治療に関わる痛みへの不安など、歯科には「痛み」が伴うことがありますが、これらの「痛み」への原因や対処法、回避策などをお話ししたいと思います。

歯科治療にまつわる「痛み」と回避策

歯科治療時の痛み

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歯表面の浅い小さな虫歯治療ではほぼ痛みがなく、すべての歯科治療が痛いのではありません
神経に近い場所まで深く進んだ虫歯の治療、感染した神経の除去、抜歯などの外科処置などが痛みを感じる治療です。
それでも麻酔をすれば無痛状態で治療することができます。その麻酔も工夫をすれば痛みの軽減ができますのでご安心ください。

当院の麻酔法

歯科治療後の痛み

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治療内容にもよりますが、治療中は麻酔で痛みをブロックできていても治療後に痛みが出る場合があります。

1.抜歯などの外科治療後

治療自体は麻酔で無痛であっても、麻酔が2~3時間ほどで切れてくると痛みを感じることがあります。
そのため鎮痛剤や抗生物質で感染と痛みのコントロールをする必要があり、ご自身の免疫と回復力により時間と共に傷が治ってくれば痛みもなくなってきます。

2.神経の近くまで進行した虫歯治療後

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虫歯が深い場合は神経近くまで虫歯を取り除く際に虫歯を削る際の熱や刺激が神経に伝わりやすく、治療後一時的な歯の痛みがでる場合があります。
通常はそのまま様子を見ていれば自然と治りますが、痛みが継続する場合や痛みが増幅する場合は神経の障害や感染を疑う必要があります。

3.根の中の治療(根管治療)後

根管治療
フレアーアップと呼ばれ、感染が蔓延していた場所に消毒薬などの急激な刺激が加わり一時的な痛みとして感じるものです。
免疫反応による急性炎症が原因です。治療を継続することで痛みは治ります。

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歯科治療と痛み止め

薬
痛みはご自身の免疫力や回復力が効果を発揮するまで安静を促す身体の防御反応とも考えられます。
痛みや苦痛がなければやり過ぎてしまうものを制御する感覚の一つととらえると無用なものではないようです。
しかし痛みはつらいものですから緩和する必要があります。
痛みは炎症に伴ってでてくることが多いため、炎症のコントロールが必要です。
炎症の原因が病気に由来している場合は治療により病気を治すことが第一優先です。原因の本丸(病気)がそのままでは内服薬では一時的な効果はあっても治ることはありません。
外科治療など治療後に炎症が起こった場合の対処法は
・身体を安静にする
・よく睡眠を取りまたしっかり食事で栄養を摂り体の免疫力をアップする
・抗生物質で感染を防ぎながら痛み止め(消炎鎮痛薬)で炎症を抑える

歯や歯茎の「痛み」の原因と対処法

歯が痛い

痛い2
歯の痛みは虫歯だけではありません。例えば食いしばり、外傷、歯と歯の間の食べ物の詰まりなど様々な原因で痛みますのでその原因を探ることが第一です。原因に合わせた治療法が必要です。

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歯茎が痛い

歯茎に外傷か炎症があることが考えられます。炎症による痛みの代表的な病気をご紹介します。

1.歯周病

歯周病
歯と歯茎の境目から細菌が歯茎の中に入り感染を起こした状態です。当初は歯茎が赤みを帯びる程度ですが、進行すると歯茎が腫れたり出血を伴う炎症が起こります。
さらに進行すると歯を支える骨も溶けて歯がぐらつき、噛むと違和感や痛みがでて、最後には自然に歯が抜け落ちる病気です。
成人の歯を失う3人に2人が歯周病です。
重症になると歯を助けることができなくなるため、できるだけ早期に治療をされることをお勧めします。

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2.歯のひび割れ

歯根破折
神経が残っている歯には滅多に起きませんが、神経を失うと歯がもろく弱くなるため噛む力などの外力に負けて歯にヒビが入る・歯が割れる(折れる)などのトラブルが時折起こります。
歯のどの場所でどの程度のヒビや割れが起きたかで今後の対処法が変ります。
根の部分で起こった場合は残念ながら助けることはできません。

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3.根尖性歯周炎

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歯の神経部分の感染が根の先のあごの骨にまで進行したもので、歯茎が腫れたり痛みを伴います。根管治療が必要です。

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親知らずが痛い

親知らず
日本人のあごの大きさが比較的小さいため、一番最後に生えてくる最も奥の歯である第三大臼歯が真っすぐに生えないことがよくあります。
斜めに生えると手前の歯との間にステップができて食べ物が挟まりやすいこと、また最も奥の歯のため歯ブラシが届きづらく清掃不良になりやすいことなどから炎症を起こし痛みがでることがあります。
これを智歯周囲炎といい、多くの人が困るためか親知らずと不名誉な名前で呼ばれています。
日々の清掃管理がしっかりできるのであればそのままでもいいでしょうが、斜めに生えているなど歯磨きで日常の管理が難しいケースでは抜歯が検討されることがあります。

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噛むと痛い

痛い
噛むと歯が痛む原因の代表的なものをご紹介いたします。
・虫歯
・歯周病
・歯根膜炎
・咬合性外傷
・上顎同炎
・歯ぎしり・食いしばり
・智歯周囲炎
原因が違えば治療法も変わることと、痛み止めでその場だけしのいでも原因が解決しない限り治らないばかりか重症化する可能性がありますので、受診をお勧めいたします。

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入れ歯が痛い


入れ歯が痛い場合は入れ歯に問題があるケースと、噛みしめ癖など過度の力を歯や入れ歯にかけているケースがあります。
何度も入れ歯を作り直ししている方は後者の原因である可能性が高いと思います。
入れ歯が痛い代表的な原因をご紹介します。
・入れ歯に過剰な強い力を慢性的にかけている(噛みしめ・食いしばり・歯ぎしりなどの癖)
・入れ歯とあごの形が合っていない
・入れ歯の人工歯の高さが高い
・総入れ歯の外形があごの動きにマッチしていない
・入れ歯の設計に問題がある
・部分入れ歯を支える歯に問題がある
・入れ歯を乗せているあごの粘膜が弱い・過敏
・入れ歯と口の中の清掃が不十分なため不潔になり粘膜が炎症を起こしている

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まとめ

歯科治療には一部には痛みを伴う治療もありますが、麻酔をすれば無痛状態で治療をお受けいただけます。
その麻酔も痛みの少ない麻酔法を用いれば最小限で済みます。
治療後も痛み止めや抗生物質でかなり痛みはコントロールできます。
最も痛みを感じない方法は、歯を悪くしないこと、病気が初期の無症状の時に治療することにつきます。
そのために当院がお勧めするのが、定期的なメンテナンス(クリーニング)で歯を健康に保つことと、定期的な歯科健診で病気を早期に発見し初期のうちに治療をして重症化させないことです。
ぜひ私たちとご一緒に大切な歯を守り続けていきましょう。